• 特徴ある溶剤回収、再生装置 /
  • 委託収集企業も掲載 /
  • 掲載企業と直接商談

再生基油の現状【日本と世界の比較】再生基油の現状【日本と世界の比較】

再生基油とは?

基油再生とは、使用済み潤滑油をリサイクルして基油を生産することです。基油原料の多様化を図る手段として期待されており、再生重油として燃やして利用する以外の用途(再生潤滑油など)で活用が可能になります。
※基油・・・添加材を混ぜる前の状態の、潤滑剤のベースとなるオイルのこと。

再生基油を取り巻く世界の状況

欧州では、使用済み潤滑油の回収と再生利用が積極的に行われており、非常に高い回収率を維持しています。特にイタリアでは、CONOUという使用済み潤滑油の管理、収集、および処理のためのコンソーシアムが中心となり、官民連携で回収システムを構築しています。また、再生基油の使用も進んでおり、欧州全体で、使用する基油の13%は既に再生基油です(イタリアなどでは30%)。カーボンニュートラルの目標達成に向けて、再生基油の利用がさらに拡大すると考えられています。

再生基油に関する日本の現状

日本では、使用済み潤滑油の回収は進んでいますが、その多くは再生重油として燃料利用されています。 出典資料 図 3-12.「我が国、米国および EU の潤滑油リサイクルフローの比較」によると、2019年度は、年間に発生する使用済み潤滑油73万kLのうち、約60万kLが回収され、その内53万kLが再生重油として利用されました。 一方、再生基油への再精製は限定的です。国内には再生基油製造のインフラが十分に整備されておらず、再生基油の利用はほとんど進んでいません。また、法整備や、潤滑油業界と政府の連携も不十分です。

取り組みの必要性

カーボンニュートラルの実現のためには、再生基油の利用が重要です。海外では、環境問題への意識の高まりや、資源の有効活用という観点から、再生基油の利用が進んでいます。日本もこれらの動きに遅れないように、国内での使用済み潤滑油の回収・再生システムを構築する必要があります。そのためには、法整備や技術開発だけでなく、経済的なインセンティブや企業の意識改革もポイントになります。

再生基油の導入に向けた課題

再生基油の利用を拡大するためには、いくつかの課題を解決する必要があります。 まず、再生基油の品質や供給の安定性を確保する必要があります。 また、企業が安心して再生基油を使用できるような、情報開示や認証制度も重要になります。 さらに、再生基油の価格をバージン基油と同等レベルに抑えることが、普及を促進する上で不可欠です。 そのためには、技術開発や製造コストの削減が必要となり、導入の課題は多岐に渡ります。

普及に向けた今後の展望

再生基油の普及は、環境負荷低減だけでなく、資源の有効活用や、エネルギー安全保障にも貢献します。日本においても、再生基油の製造・利用に向けた取り組みが、今後ますます重要になると考えられます。政府や業界団体が連携して、再生基油の品質基準策定や、サプライチェーンの構築を支援していく必要があります。社会全体が理解を深め、再生基油を使用した製品を積極的に選択できるような環境を整備することが重要です。

出典

当ページは、「令和3年度燃料安定供給対策に関する調査等事業(潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業)調査報告書(公表用) 」(https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000365.pdf)を参考に作成しています。