カーボンニュートラル税制優遇航空燃料の10%をSAFへ【2030年の実現目指す】

2030年のSAF供給目標

日本は2030年までに、国内で生産・供給されるジェット燃料のGHG排出量(温室効果ガス)の5%相当量以上をSAF(持続可能な航空燃料)で代替することを目指しています。この目標は、2019年度に国内で生産・供給された「ジェット燃料 ✕ SAFの混合率10% ✕ GHG削減効果50%」を基準にしています。これにより、より環境に優しい航空燃料の普及を促進します。

SAF官民協議会の役割と活動

SAFの導入を促進するために、経済産業省と国土交通省が共同で「SAF官民協議会」を設立しました。協議会は、SAFの製造・供給に関する専門的な議論を行うために、製造・供給WGと流通WGの二つのワーキンググループを設置しています。これらのグループは、SAFのサプライチェーン構築やCORSIA適格燃料登録・認証などに取り組んでいます。

投資支援策の具体化

政府は、エネルギー供給構造高度化法に基づき、2030年までに航空燃料消費量の少なくとも10%をSAFで賄うことを目指しています。初期投資が大きい設備の導入を支援するために、大胆な先行投資支援が行われる予定です。また、航空サービス利用者に費用負担の理解を得ながら、SAFの安定的な供給を実現するための規制・制度的措置も併せて導入されます。

フィードストックと供給課題

SAFの原料には、非食用由来のフィードストック(原材料)が推奨されます。現状では廃⾷油が主な原料となっており、世界的な需要増大により供給量不足などの課題があります。そのため、⾮可⾷原料を使用したSAFの生産が求められています。

国際基準と国内目標

SAFの品質規格としては、ASTM Internationalが定める「ASTM D7566」が採用されており、さまざまな製造方法と原料に基づくSAFがこの規格に適合する必要があります。国際基準に準じた品質規格を維持しつつ、日本では2030年までにGHG排出量を5%以上削減する目標が設定されています。

SAFの品質規格と供給体制

SAFの製造には、「ASTM D7566」に基づく複数の認証プロセスが存在し、従来のジェット燃料との混合比率が規定されています。また、2035年以降のさらなる目標についても、国際的な動向を考慮して設定される予定です。これにより、SAFの持続可能な供給体制が確立されます。

航空業界への環境規制と影響

航空業界は、ICAO CORSIAに基づくGHG排出量削減義務を負っています。日本でも、航空法に基づく脱炭素化推進計画が策定され、2030年のSAF利用目標が設定されています。これにより、航空業界全体が持続可能な燃料への移行を進め、環境への影響を最小限に抑える努力が求められています。

持続可能な発展の展望

SAFの普及は、持続可能な航空業界の発展に不可欠です。政府と民間企業は共同で、SAFの技術開発と市場拡大を推進しており、今後のe-SAF(合成燃料由来のSAF)の普及にも期待が寄せられています。また、SAFの利用を促進するための規制や制度の整備が進行中であり、これにより航空業界の脱炭素化が加速される見込みです。

出典

経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/saf/pdf/005_03_00.pdf

当ページは、「第5回 持続可能な航空燃料(SAF)の導⼊促進に向けた官⺠協議会事務局説明資料」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/saf/pdf/005_03_00.pdf)を参考に作成しています。