三価クロムメッキ工程には、シングルセル方式とダブルセル方式があります。 |
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◆ シングルセル方式 |
特殊な化学品の使用により隔膜、アノードボックスの使用が必要ない。アノード(+極)としてグラファイトが使用され、一般的メッキ方法と同様にメッキされます。
このプロセスは、実際には室温タイプのものと、昇温タイプのものとに分けられます。
室温タイプのシングルセル方式三価クロムメッキプロセスからは、ピューターあるいはステンレススチール色のような黒味の外観のクロムメッキが得られ、室温タイプシングルセル方式三価クロムメッキプロセスからは、深みのある金属光沢のクロムメッキが得られます。
【注: −極はカソードといい、メッキされる品物をつけます】 |
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◆ ダブルセル方式 |
初期のプロセスでは、メッキ浴の安定維持のため、選択性イオン交換膜を用いた隔膜を使用してアノードとメッキ浴中の三価クロムイオンを隔離する必要がありました。
このため、アノードボックスが使用され、このアノードボックス内にセットされた鉛合金陽極からメッキされます。アノードボックス液としては希硫酸が使用されます。 |
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◆ 三価クロムメッキと六価クロムメッキの比較表 |
項目 |
三価クロムメッキ |
六価クロムメッキ |
シングルセル方式 |
ダブルセル方式 |
最大メッキ
厚み(μm) |
25以上 |
0.25 |
100以上 |
均一電着性 |
○ |
○ |
× |
つき廻り性 |
○ |
○ |
× |
折出構造 |
マイクロボーラス |
マイクロボーラス |
ノンマイクロボーラス |
色調 |
深味金属色 |
深味金属色 |
青味金属色 |
クロム濃度(g/L) |
20〜24 |
5〜10 |
75〜150 |
PH |
2.3〜3.9 |
3.3〜3.9 |
1以下 |
陰極電流密度
(A/cm2) |
5〜20 |
4〜15 |
10〜30 |
温度(℃) |
21〜49 |
21〜54 |
35〜50 |
攪拌 |
空気攪拌 |
空気攪拌 |
― |
アノード |
グラファイト |
鉛−錫合金 |
鉛−錫合金 |
メッキ速度
(μm/min) |
0.2 |
0.1 |
0.1 |
後処理 |
必要 |
必要 |
不要 |
排水処理 |
容易 |
容易 |
普通 |
安全性 |
ニッケルメッキ
同様に安全 |
ニッケルメッキ
同様に安全 |
危険 |
ミスト |
ほとんど削除される |
ほとんど削除される |
多量 |
におい |
ほとんど削除される |
ほとんど削除される |
強い |
不純物除去 |
容易 |
容易 |
難しい |
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