自溶合金溶射
自溶合金溶射とは
自溶性合金を溶射し、皮膜を再溶融することで非常に強い密着力を発揮します。
表面硬化・耐高温摩耗・耐食性に優れる皮膜を形成できるため、ボイラー部品等の耐熱用途部品や粉砕刃、スクリュー等の耐摩耗用途部品への溶射に多く用いられています。
自溶合金溶射の用途例
- 耐熱用途部品(ボイラー部品等)
- 耐摩耗用途部品(粉砕刃、スクリュー)



自溶合金溶射の特徴
自溶合金溶射の特徴は、表面硬化・耐高温摩耗・耐食性に優れる皮膜を形成できることです。
自溶性合金(Ni、Coをベースとし、少量のB、Siを添加した合金)を溶射によって基材表面に成膜します。
その後ヒュージングという作業によって皮膜を再溶融すると、基材と皮膜の間で拡散合金層が形成され、非常に強い密着力を発揮します。
また、皮膜中は酸化物が少なく、気孔のない皮膜を得ることができます。

主な自溶合金溶射の種類
自溶合金溶射皮膜については、主に以下のような種類がございます。
- Ni基(Ni-Cr-B-Si)耐摩耗、耐食性に優れる
- Co基(Co-Ni-Cr-B-Si)耐摩耗、耐溶融金属に優れる
- Ni基+WC(Ni-Cr-B-Si-WC)耐摩耗性に優れる
コーティング材料特性一覧
◎最適 ○適する
| 材料名 | 代表組織(wt%) | 用途 | 適用条件・特徴 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 耐摩耗 | 耐熱 | 耐食 | |||
| 自溶性合金(Ni基) | |||||
| メテコ16C相当 | Ni-16Cr-4Si-4B-3Cu-3Mo-2.5Fe-0.75C | ◎ | ○ | ○ | 密着力大、厚盛可能 |
| メテコ15E相当 | Ni-17Cr-4Fe-4Si-3.5B-0.9C | ◎ | ○ | ○ | 密着力大 |
| 自溶性合金(Co基) | |||||
| メテコ18C | Co-27Ni-18Cr-6Mo-3.5Si-3B-2.5Fe-0.2C | ◎ | ○ | ○ | Ni基より抗張力大 |
| ステライトSF20相当 | Co-13Ni-19Cr-15W-3Si-3B-4Fe-1.3C | ◎ | ○ | ○ | 耐溶融Zn良 |
| 自溶性合金(Ni基+WC) | |||||
| メテコ31C相当 | Ni-11Cr-2.5Fe-2.5Si-2.5B-0.5C+35WC | ◎ | WC含耐摩耗優 | ||