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振動豆知識4 振動計測用応用機器開発秘話

常に「ないもの」に挑戦!−−音叉応用振動計測機器−−


これは、音叉の共鳴現象を利用した応用振動計測機器の検出部分を開発した時のお話です。

共鳴(共振)で動作する音叉は非常に少ない電流で大きな振幅が得られます。逆に外部からの力にも良く反応します。 この原理を利用し物性を計る振動計測用機器を計画しました。


この開発で苦労したのが板バネでした。左右対称に配置された板バネの共振が同じでなければ音叉は構成されません。
しかし、温度によってバネ定数が変化してしまい、少々の動作しただけでも(例えば5分間動かしただけでも)周波数が動いてしまった。

音叉応用振動計測機器
 

この選定は困難を極めました。温度・繰り返しに安定度が無ければ振動計測器として成り立たないわけですから、開発中止寸前まで追い込まれました。
結局、当社の社長が試した最後の部材(非常に高価な素材)が好成績を収め、開発が進み始めました。


その後、温度特性は満足するものの、繰り返し精度はかなりの時間(最低24H)をエージング(連続無負荷運転)をしなければ、 初期応力歪みが除去できない事が判明。
それは音叉故に左右のバネ共振をmHz(1/1000 Hz)まで合わせなければ、振動計測器としての精度が保てないからでした。

例えば共振周波数を30Hzに決めた場合、バネは31〜32Hzまで機械で研削されあとは完全に手仕上げという、気の遠くなる作業でした。 具体的にはダミーボディに板バネASSYを取付て、荒いヤスリから仕上げていき最終的にはダイヤモンドで1往復というオーダーで削ります。

30.000Hzから30.005Hzまでに両方の板バネを合わせるのは至難のわざでした。 これが24時間エージングをするとまた周波数が変わっていますので、また調整することになります。 そして調整が終わるとまたエージング・・・。

この周波数を合わせる作業もあまりに周波数の細かいところまでみているので、表通りに車が通過しただけでも乱れてしまい調整にならなくなります。 結果、夜中、車が通らなくなってからの作業でした。

とにかく徹夜の連続で(得意先の方も同じでしたが)製品が出来るのが先か、体が先に参るかという持久戦でした。 ネジ一本の締め方一つで成功にも失敗にもなる微妙な製品作りの基礎は、この音叉応用振動計測機器で学んだような気がします。

 

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